引伸ばしレンズで写した駄作集

デジタルカメラの事実上のご先祖様は、確かカシオのQV-10でした。

デジカメが出現する前、と言うかその前後はまだフィルムカメラが全盛の時代。
今、デジタル一眼で「フルサイズ」が一種の羨望の的になってます。

が、20数年前までは誰もがフルサイズで撮影する時代でした。



このフィルムをプリント用紙に焼き付けるための重要アイテムが引伸ばし機。
引伸ばし機に使われているのが引伸ばしレンズ。心臓部ですね。

可能な限りフィルムに有る情報を用紙に焼き付けるために忠実性第一で設計されたレンズです。
余計なものを省いてます。そう、焦点調節…ピントを合わすためのヘリコイド機構がありません。

どうやってピントを合わすか? 引伸ばし機の光学機構ごと上下させるのです。
このため、引伸ばし機を一般カメラに流用するにはそれなりに高度な技術が必要でした。



ところが。
2000年代後半になり、フォーサーズ、SONYのEマウント、フジのXマウントなどのミラーレスカメラ
のマウントが登場すると、サードパーティからマウントアダプタが多数登場しました。

ライカのMマウント、
PENTAXのM42マウント、
各社普通の一眼レンズ用のマウントアダプタなどなど、
日々マウントアダプタが増えている状態です。

当然ながら工業用カメラレンズのCマウントや引伸ばしレンズで多用されるL39も、
容易にミラーレスで使えるようになりました。




前々から引伸ばしレンズが各種収差を良く補正しているのでは?と睨んでおりました。
2013年、オークションで片っ端から安価〜高価な引伸ばしレンズを調達しまくりました。

トミーテックのヘリコイドや鏡筒、他社の延長筒やヘリコイド+マウントアダプタなどかなり?
投資して、ようやく撮影ノウハウを積み上げることが出来ました。


その説明の前に、まずは
   どんな写り具合なのか?

をご紹介することとしましょう。




京浜急行の京急鶴見駅、品川寄りホームの端っこから。
確か50mmか75mmレンズを使いました。
撮影直後のカメラの液晶では普通のレンズと大して変わらないかな? が感想です。
が、自宅のPCで確認すると、細部までディティールが出ていることが判明。




これも京急鶴見駅、今度は横浜駅側の端っこから。
レンズは何か忘れました。75mmだと思います。
この評価撮影では、

 SONY NEX-5+
 M42アダプタ+
 PENTAXのM42ベローズユニット+
 トミーテックのM42-L39変換ネジ+
 引き伸ばしレンズ、

と言う構成です。
若干ピントが列車手前に来ていたようですが、殆ど問題ありませんでした。




今度はボディーが銀色の奴で様子を見ます。
特に問題ありません。
何せ、この組み合わせでの撮影はピントから露出に到るまで全てがマニュアル撮影です。




多分、快晴ドピーカンではもっと綺麗な赤が出ていたことでしょう。




マクロ性能はどんな塩梅でしょうか?
ギンギンに冷えたお茶のペットボトルに付いている、水滴も再現してます。




ヒコーキを撮影のため、別のレンズと引伸ばしレンズを持参。
50mmだったか100mmだったか・・・
近接撮影も難なくこなします。




光量十分な順光なら、これ以上のレンズはそうそう望めないのでは、と思えるほどです。
ただこの時の組み合わせは、やはりSONY NEX-5にベローズを介して100mmの引伸ばしレンズ。

機動性はかなり損なわれます。よほどの準備がないと何かパーツを忘れたりと大変な組み合わせ。
慌てんぼうな人にはお勧めできないレンズでもあります。





PCではシャープネスに触れる必要はありませんでした。
キリっとした写りや病み付きになります。




では何故、引伸ばしレンズが多用されないのか?
理由は大変簡単。面倒だからです。

ピント合わせも無ければ、フィルターのネジ切りも殆どなし。
電子接点すらないレンズ、使いこなせる人は中々居ません。

強いて言うなら、BORGレンズの原理を理解でき、自分で光路長計算などが出来る人、でしょうか。




赤だけでなく、青もそれなりに綺麗に写るようです。



おなじみ、横浜みなとみらいに係留されている帆船日本丸。
これを夜間バルブ撮影でトライしました。
結果はご覧の通り。帆のワイヤーも忠実に再現してます。




思わず引伸ばしレンズのズームタイプがあればなあ、と思った一枚。
今一番焦点距離の短い引伸ばしレンズは38mmです。

これは中々使いこなせない。と言うのは世にあまたあるヘリコイドで38mmの焦点を満足するのが
無さそう、だからです。

素直に50mmF2.8を使い、アシでロケハンするのが最短なんですね。




定番、コスモクロックの水面への写り込み。
コスモクロックは意外と早いスピードで廻っているので、長時間バルブでは見事にブレます。
コスモクロックが虹色に変化する頃合を見計らって、水面への写り込みを狙うとご覧の通り。



遊覧船も頻繁にやってきます。ブレ具合も楽しいものです。




JR横須賀線、横須賀駅前のヴェルニー公園からはこんな風景が目前に広がります。
80年前にこんなの撮影したら、きっと軍機に引っかかって特高にしょっ引かれたでしょう(笑)。

日本の誇る、ヘリ搭載護衛艦ひゅうが。全通甲板は空母そのものです。




潜水艦も浮いてます。拡大してみると潜水艦の表面はゴムタイルが敷き詰められてます。




お天気が良ければ苫小牧の工業地帯の煙突が綺麗に撮影できます。
これをバックに寝台特急北斗星を狙いたかった・・・

まあ、引伸ばしレンズの写りが良かったのでヨシとします。



まあテツのハコですから、こんな感じのものばかり撮っていてはホントに飽きてしまいます。
今後の主役、なんですが撮影対象としてはちょっと物足りない。

しかしせっかくのステンレス(アルミも)。夕日にギラっと反射するロケ地を探すか、
夕日の中、雪を舞い上げて驀進するロケも見逃せません。

単調な列車にはダイナミックなシーンをあてがうのが一番。

撮影はこうした素材だけでなく、素材を活かすロケも探すのがキモだと思うのです。

如何でしたでしょうか、引伸ばしレンズの味見は?
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